【Google Cloud】WordPress 環境構築に必要なこと

【Google Cloud】WordPress 環境構築に必要なこと

WordPress 環境構築、どうやるんだっけ?せっかくだから Google Cloud で一から環境構築してみたいけど、やり方分からん!そんな人たちのために、この記事を書いてみました。

ここでは、Google Cloud 上で WordPress 環境を構築するための下準備の方法を解説します。

この記事を読むことで Google Cloud の使い方や WordPress 環境の構築のための準備方法が分かります。

この記事では以下について解説していますので、参考になればと思います。

  • Google Cloud 上で VM インスタンスの作成および設定
  • WordPress に必要なパッケージ(Apache、MariaDB、PHP)のインストール

一通り実施すると、WordPress インストール手前までの準備が整います。

前提

Google Cloud を使うためには Google アカウントが必要です。昨今は Android 端末を使うためにアカウントが作成済みだったり、Gmail を使っていてアカウント作成済みだったりすると思いますので、Google アカウント作成の方法は割愛します。

また、Google Cloud 上に WordPress 環境を構築するためには、まず Google Cloud プロジェクトを作成する必要があります。Google Cloud プロジェクトは Google Cloud の初回利用時に作成されますので、こちらの方法も割愛します。

Compute Engine で VM インスタンスを作成

Google Cloud のコンソールにログインします。
https://console.cloud.google.com

左上のハンバーガーメニューから Compute Engine をクリックし、Compute Engine のページに遷移します。メニューの場所が分からなければ、上部中央にある検索で Compute Engine と検索するのもアリです。

はじめて Compute Engine を使う場合、Compute Engine API を有効にする必要がありますので、有効にする をクリックし、有効にします。

Compute Engine のページにある インスタンスを作成 から VM インスタンスを作成します。

マシンの構成のページに遷移しますので、各項目を設定します。

マシンの構成 01
名前私は {システム名}-{リソースの略称} のような感じにしています
リージョンUS リージョンが安いので、私はその中でも日本に近い us-west1 を選択
ゾーン特にこだわりなければ 指定なし で OK
マシンの構成 02
マシンタイプ一番安いマシンタイプを選択していますが、用途、予算に合わせて選択してください

画面左側のリストにある OS とストレージ をクリックし、OS を確認します。

OS とストレージ
イメージDebian がデフォルトとなっていますが、使い慣れた OS があれば変更可能です
※以降は Debian での操作方法を記載します

画面左側のリストにある ネットワーキング をクリックし、ファイアウォールの設定をします。

ネットワーキング
HTTP トラフィックを許可するオン
HTTPS トラフィックを許可するオン

静的 IP アドレスの取得

VM インスタンスにはデフォルトで外部 IP アドレスが割り当てられますが、インスタンスが終了するごとに変動(エフェメラル)してしまいます。インスタンスが終了しても同じ外部 IP アドレスが割り当てられるように、外部 IP を固定します。

左上のハンバーガーメニューから VPC ネットワーク > IP アドレス をクリックし、IP アドレスのページに遷移します。

IP アドレスのページにある 外部を予約 から外部静的 IP アドレスを予約します。

外部静的 IP アドレスの予約
名前私は {インスタンス名}-{リソースの略称} のような感じにしています
リージョン接続する VM インスタンスのリージョンに合わせます
接続先先ほど作成した VM インスタンスを選択します

SSH 接続

ここから先は作成した VM インスタンスのコンソールにログインして作業を行います。SSH を使って接続しますが、Google Cloud Console ではブラウザーから SSH 接続ができますので、その方法を説明します。

左上のハンバーガーメニューから Compute Engine > VM インスタンス をクリックし、VM インスタンスのページに遷移します。

VM インスタンス

接続列の SSH をクリックすると、別ウィンドウでコンソールが立ち上がり、SSH 接続ができます。この方法は鍵ペアを作成、設定をする必要がなく、Google アカウントで認証してくれるため、楽ではないかと思います。

各パッケージのインストールと設定

ここからは、WordPress に必要なパッケージのインストールと設定を行います。

Apache

Web サーバーのパッケージ、Apache のインストールおよび設定をします。他の OS(例えば Fedora 系)では、パッケージ名が httpd になるそうです。

# Apache のインストール
sudo apt-get -y install apache2

# 自動起動を有効化 (再起動後も自動起動)
sudo systemctl enable apache2
# 今すぐ起動します
sudo systemctl start apache2

先ほど予約した外部 IP アドレスにアクセスすると、デフォルトページが表示されるかと思います。

MariaDB

DB のパッケージ、MariaDB のインストールおよび設定をします。MariaDB は MySQL 系の DB です。MySQL がいい場合は、MySQL でも構いません。

# MariaDB のインストール
sudo apt-get -y install mariadb-server

# 自動起動を有効化 (再起動後も自動起動)
sudo systemctl enable mariadb
# 今すぐ起動します
sudo systemctl start mariadb
# MariaDB の初期設定を行います
sudo mysql_secure_installation

sudo mysql_secure_installation では MariaDB の初期設定を行い、任意のパスワードを設定します。

PHP

PHP が動くための実行環境などを一式インストールします。

2025年8月現在、WordPress の PHP 推奨バージョンは 8.3 のようですので、PHP 8.3 をインストールします。そのまま sudo apt-get install php をした場合、PHP 8.2 がインストールされてしまいましたので、sury.org のリポジトリを登録します。

# sury.org のリポジトリ登録
sudo apt-get -y install apt-transport-https
sudo curl -sSLo /usr/share/keyrings/deb.sury.org-php.gpg https://packages.sury.org/php/apt.gpg
sudo sh -c 'echo "deb [signed-by=/usr/share/keyrings/deb.sury.org-php.gpg] https://packages.sury.org/php/ $(lsb_release -sc) main" >> /etc/apt/sources.list.d/php.list'

# リポジトリ情報のアップデート
sudo apt-get update

あらためて、PHP 8.3 と関連モジュールをインストールします。

# PHP 8.3 と関連モジュールのインストール
sudo apt-get -y install php8.3 php8.3-cli php8.3-{curl,mbstring,intl,mysql,fpm,gd,xml}
php8.3PHP の本体です
php8.3-cliPHP のコマンドラインインターフェース(CLI)版を指します
php8.3-curlPHP の curl 拡張モジュールです
php8.3-mbstringPHP でマルチバイト文字を使用できるようにする PHP の拡張モジュールです
php8.3-intlPHP の国際化用拡張モジュールです
php8.3-mysqlPHP から MySQL / MariaDB に接続するためのモジュールで、WordPress では必須です
php8.3-fpmPHP FastCGI Process Manager といい、Apache とは別にPHPを高速に処理するデーモンです
php8.3-gdPHP で画像を操作するためのライブラリです
php8.3-xmlDOM 拡張モジュールで、DOM API を使用した XML や HTML ドキュメントの操作を PHP で行えます

下記のようなメッセージが表示される場合があります。

NOTICE: Not enabling PHP 8.3 FPM by default.
NOTICE: To enable PHP 8.3 FPM in Apache2 do:
NOTICE: a2enmod proxy_fcgi setenvif
NOTICE: a2enconf php8.3-fpm
NOTICE: You are seeing this message because you have apache2 package installed.

その場合はメッセージのコマンドに sudo を付けて実行しましょう。

# PHP 8.3 FPM をデフォルトに設定
sudo a2enmod proxy_fcgi setenvif
sudo a2enconf php8.3-fpm

# 設定を反映するには再起動が必要
sudo systemctl restart apache2

WordPress インストール用パッケージ

WordPress をインストールするために必要なパッケージをインストールします。

# unzip と wget のインストール
sudo apt-get install -y unzip wget
unzipzip 形式の圧縮ファイルを解凍するために使用されるコマンドです
wgetコマンドラインから Web 上のファイルをダウンロードするためのツールです

まとめ

ここまで一通り実施することで WordPress インストールに必要な環境の作成、準備が整いました。あとは WordPress をインストールができれば、WordPress が使えるようになります。